社長は身代わり婚約者を溺愛する
そして、仕事が終わり、家に帰って来た時だ。

ちょうどお父さんが、トイレから出てきた時だった。

「よう、お帰り。」

「ただいま。」

お父さんを横目に、自分の部屋に行こうと、階段に向かった時だ。

「礼奈、これでおまえの結婚も、一歩前進したな。」

「えっ?どういう意味?」

私に結婚の話なんて、出ていない。

信一郎さんは、結婚して欲しいって言っているけれど、芹香の事もあるし。


「信一郎君との結婚だよ。」

「はあ?」

「はあって、そう言う話になってないのか。」

私は返答に困った。

「……そうなればいいねって話はしてるけれど。」

「全く。信一郎君も慎重だな。」

お父さんは、居間に向かった。

「お父さん、信一郎さんに変な事言わないでよ。」

「言ったよ。慰謝料払ったって言うから。」

「えっ?」

私は居間に座ったお父さんの前に座った。

「慰謝料、払ったの?」

「信一郎君がな。」
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