社長は身代わり婚約者を溺愛する
芹香は本当に嬉しそうに笑う。

「黒崎さん、清楚系がお好きなんでしょう?」

「えっ?」

「礼奈が言ってました。」

堂々と私の名前を出してくるなんて、その根性、凄いわ。

「そうなんだ。芹香さんは、礼奈と仲がいいんだね。」

「ええ、とっても。」

そしてコーヒーが運ばれて来て、二人は優雅に飲んでいる。


似合う。悔しいくらいに似合う。

一杯、1200円のコーヒーを、二人は完全に制覇している。

「お待たせしました。コーヒーでございます。」

私のところにもコーヒーは運ばれてきた。

しかも、このカップ!

マイセンじゃない⁉

一度、TVで観た事がある!

どうりで、一杯1200円もするはずだよ。

そう思いながら、一口コーヒーを飲んだ。

「ほう、美味しい。」

円やかで酸味と苦味が調和している。

くー、世の中にはこんなコーヒーもあるのね。


「お母さんはどんな様子かな。」

「さあ。お父さんは、私に様子を教えてくれないので。」
< 206 / 269 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop