社長は身代わり婚約者を溺愛する
芹香はもっと自由で、自分の意見を持っていていた。

お父さんがそう言ったからって、それに従っていた?

本当は、どっちが本当の芹香なの?


「礼奈から聞いていた君とは、随分差があると思うけれど。」

「ふふふ。実際会ってみると、違うものでしょう?」

「君はもっと主体性がある人だと思ってたよ。」

「どうして?」

芹香は首を傾けて、お嬢様を気取る。

「君は、礼奈に何を吹き込んでいたんだ。」

「ありのままの自分ですけど?」

「そうか。君は、お父さんの籠の中で、自由に飛び回りたいと礼奈に言っていたのか。」


そうなの?

私に語っていたのは、夢だったの?芹香!


「ある意味、そうかもしれないですね。」

そして芹香のコーヒーが、無くなった。

「お代わりいいかしら。黒崎さん。」

「どうぞ。好きなだけ飲むといい。」

「有難うございます。」


そして分かった。

二人の空気が、一緒だと言う事を。

私はコーヒーを飲み干すと、お会計をした。

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