社長は身代わり婚約者を溺愛する
また信一郎さんが叩かれる!

私は信一郎さんの前に立って、芹香のバッグを腕で受け止めた。

「礼奈!」

信一郎さんは、私の前に来て、赤くなっている私の腕を見た。

「芹香さん!」

「知らないわよ!勝手に礼奈が、前に出て来たんじゃない!」

謝る素振りも見せない芹香に、何だか腹が立ってきた。

「芹香!いい加減にしてよ!」

私は芹香の腕を掴んだ。

「本当は芹香も、この結婚はダメだって、知ってるんだよね!」

「っ!」

芹香の顔が歪む。

「お母さんの為だったら、他の方法があるじゃない!どうして信一郎さんを苦しませるの⁉」

芹香は、私から腕を振り払った。

「じゃあ聞くけど、礼奈だったらどうするの?」

「えっ?」

「1億ものお金、どうやって作るのよ!」

それは、急に聞かれたって、分からない。

「キャバクラででも働くの⁉それとも、ソープ⁉」

「そんな事、言ってない!」

「結婚すれば、1億のお金が入るって言ったら、礼奈だって結婚するわよ!」

私は何も言えなかった。
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