社長は身代わり婚約者を溺愛する
「だって、社長の相手は今まで、モデルとか女優さんが多かったから。」

「はあ⁉」

私は信一郎さんを睨んだ。

「何言ってるんだ。あれは嘘だ。なあ、礼奈。」

「知らないです。」

私はクルッと振り返ると、お父さんのところへ行った。


「また喧嘩したのか。早めに仲直りしろよ。」

お父さんは、私の肩を叩いた。

「私じゃなくて、信一郎さんに言って。」

「おいおい、そんなんじゃ嫌われるぞ。」

お父さんが信一郎さんを見ると、信一郎さんはお父さんに何回も頭を下げている。

これからが、思いやられる。


「そう言えばお父さん。」

「何だ。」

「私、信一郎さんにプロポーズされた。」

「プロポーズ⁉」

お父さんは、何回も私と信一郎さんを見ている。

「結婚するのか⁉芹香ちゃんはどうなるんだ⁉」

こういう時、男親って興奮したようにしゃべるよね。


「芹香はもう、結婚しないって断りました。そして、結婚は……」

お父さんはゴクンと息を飲んだ。

「私、する。」
< 248 / 269 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop