社長は身代わり婚約者を溺愛する
私はお父さんが単純な人で安心した。

「じゃあ、一人ずつラインについてもらえるか。」

「仕事の説明は?」

「ついた時に、一人ずつ教えればいいだろう。」

私はへーいと言いながら、一人ずつラインに立たせて、仕事を教えていった。


最後の一人は、信一郎さんだ。

「わあ。信一郎さんに仕事教えるなんて、緊張する。」

「茶化すなよ、礼奈。」

私は笑いながら、信一郎さんに手取り足取り教えた。

「いいなあ、こういうのも。」

お父さんは、私達をほほえましく見ている。

「もしかしたら、信一郎君にはこれからも手伝ってもらうかもな。」

「ええ?」

「なあ、婿殿。」


その一言に、周りの社員の人が反応する。

「えっ、もしかして社長、結婚するんですか?」

「相手は、社長の娘さん?」

お父さんは、社長って言われて上機嫌だ。

そんな風に言われるの、久しぶりだもんね。


「でも、意外と普通の人なんですね。」

一人が私をジロジロ見ながら言う。

「どういう事ですか。」
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