社長は身代わり婚約者を溺愛する

第26話 正式に婚約

信一郎さん達の手伝いで、何とか明後日納品の分は終了した。

「いやあ、ありがとう。信一郎君。」

「いえ。お役に立てて何よりです。」

お父さんも嬉しそうだけど、信一郎さんも嬉しそうだ。

私は何気なく、信一郎さんに寄り添った。

「信一郎さん、本当に来てくれてありがとう。」

「礼奈。」

信一郎さんは、周りをキョロキョロ見渡して、部下の人がいない事を確認すると、私をぎゅっと抱きしめてくれた。

「お父さん、見てるよ。」

「お父さんはいいんだ。元気注入。」

そんな事言われたら、私が信一郎さんの元気の元になっているって、勘違いするじゃん。


「そうだ。礼奈。」

「なあに。」

「ずっと考えていた事なんだけど……」

信一郎さんは私を見ると、優しく微笑んだ。

「正式に結納と、婚約パーティーを開こうと思うんだ。」

「ええっ⁉」

私は背中が反るくらいに、驚いた。

「何、簡単なものだよ。結納は、お互いの両親を交えて食事会って感じだな。」

「婚約パーティーは?」

「お偉いさんに、礼奈を紹介するだけだよ。」

急に緊張してきた。
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