社長は身代わり婚約者を溺愛する
「お父さん、お母さん!」

「礼奈達は、今後の事よく話し合ってきなさい。」

そう言ってお父さんとお母さんは、部屋を出て行ってしまった。


「うう……どうして、こんな事に……」

「礼奈。」

今貰っている信一郎さんの温もりでさえ、寂しく思える。

「私達、結婚してはダメなの?」

「そんな事ない!」

近くで聞こえる信一郎さんの声が、私を励ます。

「俺達が弱気になって、どうするんだ。」

「うん……」


その時だった。信一郎さんのスマホに、電話が架かって来た。

「ああ、副社長。どうした?」

会社から?仕事で何かトラブったの?

「えっ?今すぐ会社に行く。」

信一郎さんは、電話を切った。

「ごめん、礼奈。話し合いは今度しよう。」

「うん。いいけれど、何があったの?」

信一郎さん、ちょっと表情が暗い。

「……取締役会議を行われて、俺の社長の座が失われたって。」

「ええっ⁉」

どうして、そんな事が行われるの⁉

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