社長は身代わり婚約者を溺愛する
そして信一郎さんは、私が芹香じゃないと知ると、別れる決心をするんだ。

そうに決まっている。

そう思うと、涙が出てきた。


「もしかして、別れるとか言わないよな。」

うんとも、ううんとも言えない。

「それは、信一郎さんが、決める事で……」

「俺は、別れないよ。」

私の目からは、ボロボロ涙が零れる。

「結婚するって、言ったろ。」

信一郎さんは、私の側にくると、強く抱きしめてくれた。


「もう、この話はなし。いいね。」

「うん。」

結局、何も言えなかった。

信一郎さんと別れるかもしれないと思うと、何も言えなかった。

芹香、ごめん。


「さあ、美味しい物を食べに行こう。」

私は涙を拭いた。

「ここの料理は、最高だよ。」

「うん、楽しみ。」

私は信一郎さんに、笑顔を見せた。
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