社長は身代わり婚約者を溺愛する
「そんなに、父が気になりますか?」

「気になるね。大切なお嬢さんを俺のモノにするのだから。」

信一郎さんは、真剣に話す。

真面目なんだね。

それだけ、芹香との付き合いが、重要なんだね。


「分かってくれ。芹香は、俺にとって大事な宝物なんだよ。」

「うん。」

そこまで大切にしてくれるなんて、信一郎さんは優しい。

でも、私には秘密がある。


「ねえ、信一郎さん。私ね、信一郎さんにお話があるの。」

「何?」

「座って聞いてくれる?」

「ああ。」

そして私達は、ソファーに座った。

「話って?」

「あのね。私の事なんだけど。」

「芹香の事?」

私はうつむいた。

もう芹香だと思われるのも、限界。
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