社長は身代わり婚約者を溺愛する

第10話、初訪問

信一郎さんの会社。

もしかしたら、会社で会うかもしれない。

でも、他に受かった会社はない。

きっと今後も、工場勤務だけの職歴では、決まる場所はないだろう。

私は、この仕事を受ける事にした。


「では、明日から研修が始まりますので、スーツで1階のフロアに集合してください。」

「はい。」

スーツを着ていくのか。

まず、手元にスーツがない。

私は有り金を持って、外に出た。

ショッピングモールを回れば、安いスーツが見つかるかもと思っていた。

「あった。」

案の定、上下1万円のスーツを見つけて、私はそれを購入した。

スーツは揃った。

靴は、昔履いてた黒のパンプスがあった。

「これで、明日は大丈夫。」

家に帰って来ると、門の外に芹香が立っていた。


「芹香。」

彼女は私の顔を見ると、笑顔で近づいて来た。

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