海色の世界を、君のとなりで。
「勝ちたいって願った何よりの証拠があるじゃない」
「え……?」
真波先輩が手を伸ばして、そっとわたしの頰に触れた。
その瞬間、新たな涙の粒がつうと頰を伝う。
「この涙は嘘偽りのものじゃない。悔しいから溢れる涙でしょう、栞」
「……っ」
止まらなかった。
ぽろぽろといくつもの涙が零れ落ちて、何度拭っても一向におさまることはなくて。
「私も栞にキャプテンをしてほしい。真波が言う通り、怪我をしてもコートに立って一緒に戦ってくれた。怖かったはずなのに、スリーポイントを打ってくれた。栞がキャプテンになる理由として十分だと思うけど?」
同じように微笑む麗華先輩は、わたしの肩にそっと手を置いた。
「……お願いできるかな。キャプテン」
本当に、わたしでいいの?
もう一度振り返ると、相変わらず包み込むような優しさで背中を押してくれるみんなの笑顔。
「はい」
こくりと頷くと、拍手の後、一気に和やかな雰囲気に包まれた。