海色の世界を、君のとなりで。

「もう、真波ったら。"成瀬ちゃん"から"栞"に呼び方が変わっちゃってるね」

「う、うるさいっ!なんか気付いたら呼んでただけだしっ」

「うふふ、素直じゃないんだから」


笑い合う先輩たちの目には、うっすらと涙の膜が浮かんでいるように見えた。

けれどそれには気付かないふりをして、中山さんたちのところに行く。

中山さんのとなりには可奈がいた。


「……その、中山さんたち」


三人の前に立ってゆっくりと深呼吸をする。


「本当にご……」

「────ごめん」


わたしが言うより先にそんな言葉が贈られる。

驚いて顔を上げると、三人はわたしに頭を下げていた。


「すごい酷いこと言って、つらいことして、ごめん」

「カッとなって口走っていいことじゃなかった」

「あんなこと言うのは間違いだった」


続くように謝られて、どうしたらいいか分からなくなる。


「か、顔あげて」
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