君の甘い笑顔に落とされたい。




放課後、私以外誰もいない教室。
遠くの方で聞こえる吹奏楽部の音色、グラウンドからの掛け声。

数時間前に貰ってしまった久世くんのペットボトルをぎゅっと握りしめながら私が見ていたのは、


『え?この雑誌?別にいいけど……茉白あんたやっぱり久世のこと?』
『ちがくてっ、その、他のページに気になる特集が……』


桃ちゃんから貸してもらった雑誌の1ページ。


「両想いになるおまじない……」


桃ちゃんには隠してしまったけれど、やっぱり気になるというか。

いや、そりゃあもちろん身の程知らずとは思うよ?
私みたいなさえない女子が何してるの、って思うよ?

この気持ちが結ばれるなんて、そんなことあるわけないって思うけど、
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