君の甘い笑顔に落とされたい。

白いチョークの跡が残った黒板、窓。
それから、教室のドアへと目を向けた。



「……えっ、」



思わず音を立てて立ち上がってしまった。
だってそうでしょう。


「く、久世くん……っ、？」


帰ったはずの好きな人が教室に戻ってくるなんて、一体誰が想像できるの？


上手く声が出ない。
心配になるぐらいに、私の心臓はドッキドキだ。

だ、だって、見られたんだよ？
私が久世くんの席に座っていたこととか、
あとは……


「何してんの」


動揺しまくりの私とは正反対に、久世くんはいつも通りで。


「そこ、俺の席なんだけど」


あぁ、もうっ。
いつもなら1日に2回も久世くんとお話できるなんて！とか喜んでいるところだけど、
2回とも状況が最悪すぎるよっ。