君の甘い笑顔に落とされたい。

ぱっちりと目があって、思わず体が固まってしまう。


「(なんで、こっち見て……)」


返してもらったはずのハンカチが、私の指をすり抜けてふわりと床に落ちた。



「わ、ごめん!渡し方悪かった!」


その椎名くんの声にハッとして、
慌てて床に落ちたハンカチに手を伸ばす。



「っううん、私もボーッとしてた……」



どうして……なんで久世くんこっち見てたんだろう。
私なにかしちゃった?

それに、なんだかいつもより……



ぐるぐると、頭の中が久世くんでいっぱいになった時。
椎名くんに名前を呼ばれた。

「花戸さん」って、元気であたたかい声で。



「はい。この前はマジでありがとね」
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