君の甘い笑顔に落とされたい。

大学生くらいに見える。
ガラが悪そうな、そんな人たち。

階段に立ち入り禁止の看板も置いてあったのにどうして……。
と、とにかく先生に知らせなきゃっ。



『──おまえだったらいーよ。』



ぴたり、足が止まったのは、久世くんの言葉を思い出したから。
……ここは、久世くんが大切にしている場所。

このまま先生に知らせたら、久世くんはここにはもう来れないかもしれない。


そんなの、絶対にダメだ……


『──なに、この空気』


ぎゅ、と制服を持つ手に力を込める。
中学生の時、私はなにも出来なかった。

誰かを引っ張るような、目立つ存在でもない人がなにを言ってるの?って、笑われるのが嫌だったから。

だから、自分の弱いところを怖がらない久世くんに憧れたの。
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