君の甘い笑顔に落とされたい。

でも、ここで逃げるわけにはいかない。


「……案内しますから、ここにはもう入らないでください」


腕を掴む手を振り払わず、ただ真っ直ぐに見上げる。

大切な場所なの。
ここは、久世くんの……


『──そのままでいいよ、おまえは。』
『おまえだけだったよ。120パー本気、みたいなの。』

『夢じゃないから、今からその話しようって言ってるんだよ』


っ私にとっても、大切な場所なの。


「えー……なんか、生意気じゃねぇ?」


男の人の表情がスッと変わる。
さっきまでニヤニヤと笑っていたのに、今は眉を寄せて不機嫌そうな顔。

お、怒ってる……。

一歩、また私に近づいてきたから、思わずぎゅっと瞼を閉じた。



「なにやってんの?」
< 256 / 284 >

この作品をシェア

pagetop