君の甘い笑顔に落とされたい。

こうやって、2人きりになるのは夏休み前のあの時以来。
緊張と気まずさで、どうすればいいのか分からなくなってくる。


「……使えば」


ぽつり、小さな声で久世くんはそう言った。


「え?」
「着替えに来たんだろ。ここ使っていーよ」


その言葉に、自分のいまの格好を思い出す。
っそうだ、私、こんな格好で……!

あぁ、もう、色んな意味で恥ずかしすぎる。

頬が熱くなっているのを感じながら、「ありがとう……」と、なんとか声に出した。


扉が閉まって、1人きりになった音楽室でまたため息を吐く。
久世くんに、恥ずかしいところしか見せてない気がする……。

そんなことを考えながら、ワンピースのファスナーに手をかけた。
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