君への想い、この音にのせて〜こじらせ幼なじみの恋の行方は〜
「華山さんのドラムも見せてくれてありがとな。めっちゃ感動したわ」
「うん、よかったっ」
十也くんの笑顔にこちらもつられて笑顔になる。
「じゃ、また明日な」
「うん!気をつけて帰ってね」
「おう」
ーーーガチャ。
玄関のドアが静かに閉まった。
その場に立ち尽くす。
温かいけれどなんだか複雑な気持ちに包まれている。
十也くん、すごいなぁ。
あんなに真っ直ぐに想いを伝えてくれた。
"諦めない"・・・・・・か。
リビングに戻り、底にうすくカフェオレが残ったコップを片付ける。
・・・私はこのままでいいのかな。
告白・・・かぁ。
私は奏に、「好きだった」とは言ったけど、今の気持ちを伝えたわけじゃない。
十也くんがあんな真剣に私に向き合ってくれたのに、勇気を出してくれたのに、私がこのまま何も行動を起こさないのは、どうなんだろう。
十也くんに対しても失礼だよね・・・。
うん、そうだ。
私も、奏に今の気持ちを伝えよう。
振られることはわかってる。
でも伝えたら、また前に進める気がするから。
・・・十也くん、ありがとう。
十也くんに勇気をもらったよ。