君への想い、この音にのせて〜こじらせ幼なじみの恋の行方は〜

「おいっ」


俺には目もくれず、横を通り過ぎようとしたそいつの腕を咄嗟に掴んだ。



「･･･何」



長谷部は、だるそうにこっちを見た。



「･･･お前、なんでここにいんの？」



ザワザワと嫌な胸の焦りを感じる。



「･･･別に関係ねぇだろ」


そう言って長谷部は行こうとしたが、俺は離さなかった。



「鈴んち、いたのか？」


「だったらなに」



鬱陶しそうに俺の方を向いた。



「･･･何、しにきたんだよ」
　


「華山が誘ってくれたから来たに決まってんだろ」



「っ、」



は･･･

どういうことだ？


鈴が･･･長谷部を誘った？



「離せよ」

　
長谷部は俺の手を振り払うと、そのまま行ってしまった。