君への想い、この音にのせて〜こじらせ幼なじみの恋の行方は〜


マンションから駅まで向かう途中に、奏たちがよく使っているバスケットコートがある。

 

ダンダンダンッ

ダンッダンダン、バンッ、シュッ



小学生の頃からここで聴くようになったこの音。その頃、まだか弱かったこの音は月日が経つごとにどんどん力強いものへと変わっていった。



私はこの音が大好きなんだ。



奏が楽しんでいる、がんばっていることが伝わってくるこの音。


それを自分の耳に聴かせながら、バスケットコートの横を通り過ぎる。




「ーー鈴っ!出かけんの?」


その声に足を止め、振り返った。


ボールを友達にパスして、少し息を切らした奏がこっちに駆け寄ってくる。


バスケをやっている奏は本当にかっこいい。


練習着のラフな格好がとても似合っていた。



「うん、蘭ちゃんとカフェに行くよ」


「・・・そっか、楽しんでな」


「うんっ。奏も楽しんでっ、じゃあね」


おっと、見惚れてる場合じゃない。


笑顔を向けフェンス越しに手を振り、駅に向かって歩きだした。


< 6 / 268 >

この作品をシェア

pagetop