NGなきワル/バイオレンス長編作完全版!👉自らに過酷を課してのし上がったワルの非情とどうしようもない”ある焦がれ”…。
大打ノボルの秘められた黒い意思/運命の舞台、九州へ
野心という黒い聖火⑤
翌日朝…。
彼の目覚まし時計代わりに耳元へと届いた”音色”は、まこともってハイカラなものだった。
「ああ、おはようございます~。マスターからは聞いとりますんで。大打さんでしたよね…。大胡みゆきです。よろしくお願いします…」
「こちらこそ。昨夜は遅かったもんで、寝起き顔晒してすまない…」
「いえ…」
大胡みゆきはこの店の従業員で、本日の出勤は通常より1時間早かった…。
...
「…じゃあ朝食、こんなものですが、ここ置いていきますんで。お疲れでしょうから、ごゆっくり…」
「ありがとう。ああ、お姉さん、ひとつだけいいかな?」
「はい、なにか…?」
「三貫野って男、どうだい?」
「は…?」
「そのものズバリで答えてくれればいい」
「はあ…。いいマスターですよ」
「そうか。参考になった」
「…」
ノボルにとって、今の”彼女のリアクション”は真の意味で”参考”になり得たのだった。
...
”三貫野はいい仮面を被ってる…。女と善人…、それらをそっくりたぶらかせる社交ツラを…”
かくて、大打ノボルが抱いたこの時の”直感”は、殺人コーディネーター”タカハシ誕生”の伏線となって行く…。
...
”…この台本は気に入ったぜ。フフフ…、どうやら三貫野のマンストックは、オレのそれをはるかに上回ってるようだな。椎名の言ってる意味がよくわかったわ”
既にすっかりお気に入りの”居城内”で、ノボルは前日…、いや、正確にはその日の明け方に手渡された2冊のノートを交互に何度も目を通しながら、そう呟くのだった。
その2冊とは、3ストーリーの”台本”と、来るべき新作の際に備えたキャスト候補のはしがき…。
”ヤツのチョイスしたストーリーは文句なしだ!オレの役回りもいい。決行が今夜って即ノリのオンゴーも気に入った…(苦笑)”
...
ところ変わって、ここ関東の横浜市内繁華街…。
朝9時半ちょうど…、。
某駅近くのファーストフード店では、ノボルの腹違いの弟・武次郎が幼馴染である椎名彰利と打合せの場を持っていた。
「ほう…、さっそくお前の竹馬の友とアニキは気心を通じ合ったってか。はは…、あっちからの報告では、いきなり熊本市内で一発仕掛けるってことだしな。彰利…、どうなんだ、そのアクションの波、ここにも即なのか?」
巨漢の武次郎は、既にチーズバーガー3個目をその口にほうばっている。
「うん、オレはそう見てる。あっちの仕掛けは関西傘下である南洲一新会の息がかかってるクラブになる。ノボルさんの役者ぶりなら、球磨黒組に流し込めば、奴っこさんらは喜んでレールに乗るだろうさ。フフ…、オレ達ハナタレのガキが、この日本を二分するやくざ業界の大手たる関東と関西が向きあう局地戦争の火ぶたを切って落とすんだ。”すべて”を計算の上で…」
ここヨコハマでも、気の合うワル二人が色気ばった微笑を浮かべながら、九州の台本着手を心待ちしていた。
...
「…武次郎、東龍会は即反応する。もしかしたら、ココに幹部クラスが出向いて来るかも知れん。そうなれば、熊本とは2元生中継並で事を運ばないと。心してくれ」
「わかった。なにしろ、アニキは”年中無休”だからな。こっちもそれに準じねーとよう(薄笑)」
武次郎はそう言って、4個目のチーズバーガーに手を伸ばしていた…。
野心という黒い聖火⑤
翌日朝…。
彼の目覚まし時計代わりに耳元へと届いた”音色”は、まこともってハイカラなものだった。
「ああ、おはようございます~。マスターからは聞いとりますんで。大打さんでしたよね…。大胡みゆきです。よろしくお願いします…」
「こちらこそ。昨夜は遅かったもんで、寝起き顔晒してすまない…」
「いえ…」
大胡みゆきはこの店の従業員で、本日の出勤は通常より1時間早かった…。
...
「…じゃあ朝食、こんなものですが、ここ置いていきますんで。お疲れでしょうから、ごゆっくり…」
「ありがとう。ああ、お姉さん、ひとつだけいいかな?」
「はい、なにか…?」
「三貫野って男、どうだい?」
「は…?」
「そのものズバリで答えてくれればいい」
「はあ…。いいマスターですよ」
「そうか。参考になった」
「…」
ノボルにとって、今の”彼女のリアクション”は真の意味で”参考”になり得たのだった。
...
”三貫野はいい仮面を被ってる…。女と善人…、それらをそっくりたぶらかせる社交ツラを…”
かくて、大打ノボルが抱いたこの時の”直感”は、殺人コーディネーター”タカハシ誕生”の伏線となって行く…。
...
”…この台本は気に入ったぜ。フフフ…、どうやら三貫野のマンストックは、オレのそれをはるかに上回ってるようだな。椎名の言ってる意味がよくわかったわ”
既にすっかりお気に入りの”居城内”で、ノボルは前日…、いや、正確にはその日の明け方に手渡された2冊のノートを交互に何度も目を通しながら、そう呟くのだった。
その2冊とは、3ストーリーの”台本”と、来るべき新作の際に備えたキャスト候補のはしがき…。
”ヤツのチョイスしたストーリーは文句なしだ!オレの役回りもいい。決行が今夜って即ノリのオンゴーも気に入った…(苦笑)”
...
ところ変わって、ここ関東の横浜市内繁華街…。
朝9時半ちょうど…、。
某駅近くのファーストフード店では、ノボルの腹違いの弟・武次郎が幼馴染である椎名彰利と打合せの場を持っていた。
「ほう…、さっそくお前の竹馬の友とアニキは気心を通じ合ったってか。はは…、あっちからの報告では、いきなり熊本市内で一発仕掛けるってことだしな。彰利…、どうなんだ、そのアクションの波、ここにも即なのか?」
巨漢の武次郎は、既にチーズバーガー3個目をその口にほうばっている。
「うん、オレはそう見てる。あっちの仕掛けは関西傘下である南洲一新会の息がかかってるクラブになる。ノボルさんの役者ぶりなら、球磨黒組に流し込めば、奴っこさんらは喜んでレールに乗るだろうさ。フフ…、オレ達ハナタレのガキが、この日本を二分するやくざ業界の大手たる関東と関西が向きあう局地戦争の火ぶたを切って落とすんだ。”すべて”を計算の上で…」
ここヨコハマでも、気の合うワル二人が色気ばった微笑を浮かべながら、九州の台本着手を心待ちしていた。
...
「…武次郎、東龍会は即反応する。もしかしたら、ココに幹部クラスが出向いて来るかも知れん。そうなれば、熊本とは2元生中継並で事を運ばないと。心してくれ」
「わかった。なにしろ、アニキは”年中無休”だからな。こっちもそれに準じねーとよう(薄笑)」
武次郎はそう言って、4個目のチーズバーガーに手を伸ばしていた…。