時間が戻った令嬢は新しい婚約者が出来ました。
城の魔法騎士団に着くと、私達は必死で魔法騎士団に訴えた。
あの証拠のネックレスについていた呪いの宝石を持って。
「娘がブラッドフォードに呪われた! 騙され、金も不当に奪われたんだ!」
お父様は着くなり、魔法騎士団で叫びながら訴るが、魔法騎士団は首を傾げていた。
「本当にこれが呪いの宝石ですか?」
全く役に立たない! と怒りが爆発しそうだった。
「私の顔が呪いで!」
見せたくないが、私は呪いを信じてもらう為にマントから顔を出した。
私の顔を見ると、その場にいた魔法騎士団の面々はギョッとした。
これで信じてもらえる!
私に恥をかかせ破産させたブラッドフォードに一矢報える!と思った。
でも、違っていた。
一人の身なりの良い茶髪の男が静かに歩いてきて、私とお父様にゆっくり話しかけた。
「あなたは誰を呪ったのですか?」
どうして呪いを知っているの!?
知っていても、私の顔を見るとどう見ても私が被害者でしょ!
焦りと苛立ちと……私にはもう感情が追い付かないほどイラついていた。
「呪われたのは私です! 不当にブラッドフォードにこんな顔にされたのです! そんなこともわからないの!」
「……公爵を呼び捨てにすると、不敬になりますよ」
「何が公爵だ! 無能者では話にならん! 責任者を出せ!」
お父様はひたすら怒鳴り叫んで、それに合わすように私も叫んだ。
目の前の魔法騎士は、怪訝な表情になっているけど、そんなことすら腹ただしい。
「そうよ! 私は被害者よ! 名乗らないような人間に侮辱されるいわれはないわ!」
「……私は第一級魔法騎士ヒース・アスノームです。アレクセイ殿下の護衛を務めています」
アレクセイ殿下の護衛!?
何だか不味い気がしてきた。
さっきまで、怒鳴り散らしていたお父様も少しずつ青ざめてきている。
「ア、アスノーム公爵……様……ですか?」
先ほどとは打って変わって、お父様は小さくなり消えそうな声になる。
「アスノーム公爵は私の兄上です。さて、静かになったようですし、もう一度聞きます。誰を呪ったのですか?」
「わ、私は被害者です……」
「……そのような痕は、呪い返しを受けた痕です。あなたが呪い、その呪いを返されたのですよ」
__!?
まるで、雷を打たれたように体中に何かが走った。
バレている!?
いや、そうではない!
私の顔が、呪い返しのせい!?
では、ブラッドフォードは……。
「これが呪いの宝石? 一応調べますが……とりあえずお預かりします」
ヒースと名乗った男は、魔法騎士団の者に宝石の鑑識に回すように指示していた。
でも、呪いの宝石ではないような雰囲気で呆れたように宝石を渡している。
「ブラッドフォード……公爵に騙されたんだ。娘を……こんなにされて……。どうか、一緒に来て下さい……」
歯切れの悪いお父様は、魔法騎士団を連れてブラッドフォード公爵の所に乗り込むつもりだった。
でも、私の顔が呪い返しのせいだと言われ、下を向き両手が震えている。感情が追い付いていなかった。
「娘さんのは明らかに呪い返しです。ブラッドフォード公爵を呪おうとしたのですか?」
静かに私達を見据えて話すヒース・アスノーム様は、ブラッドフォード公爵のように迫力があった。
私達は騙されたと訴えた。
でも、それが違っていたら?
ましてや、公爵を呪ったと疑われ、このままだと私達が捕まる。
そして、先に逃げ出したのはお父様だった。
私がリディア・ウォードではなくブラッドフォード公爵を呪ったと思ったのだろう。
お父様に続いて私も走り出すと、出入り口のドアの前から急に地面から壁が勢いよく直下たつようにはえてきた。
ヒース・アスノーム様が魔法で出入口を塞ぎ、私達が逃げられないようにして、その場にいた魔法騎士達に指示を出した。
「両名捕縛せよ!」
ヒース・アスノーム様の捕縛命令で私達は魔法騎士に抑えられた。
私は、必死で叫んだ。
「私はブラッドフォードを呪っていません!」
「なら、誰を呪おうとしたのか、ゆっくり聞きましょう」
私達にゆっくりと近づいてきたヒース・アスノーム様がそう言うと、私達に拘束魔法をかける。
「大地の魔法よ。ヒース・アスノームの名において拘束する」
ヒース・アスノーム様の魔法で、現れた土岩みたいなもので両手を拘束さる。土岩みたいな頑丈な手枷にはヒース・アスノーム様の名前が黄色に近い茶色の光で浮き出ていた。
私達は第一級魔法騎士ヒース・アスノーム様に捕縛されたのだ。