とことわのその ― 獣と絡まり蔦が這い ―【加筆修正版更新中】
仕事仲間なのか友達なのか、男の人たちと奥の席に座る邑木さんに視線を送る。
触れ合う目と目。わたしは軽く会釈した。

けれど邑木さんは軽く(まばた)きするだけで、わたしなんかまるで他人か、もしくは空気のようにすぐに視線を逸らした。
男たちと笑い合い、いつものように波多野さんに注文をしてスマートフォンを触りだし、すぐにスマートフォンをしまった。
咄嗟にカウンターの上の自分のスマートフォンを手にとる。


メッセージは、なにもなかった。


「由紀ちゃん。ほら、サーモンきたよ。食べよ」

いつの間にか、男はわたしとの距離を詰めていた。
軽く触れる肘が煩わしい。

どうして康くんはこいつと友達なのだろう。
ここで一番高いフードメニューとドリンクを頼まなくては。

「あの人、由紀ちゃんの知り合い?」

「え?」

男が視線だけで邑木さんの方を見る。

「あの人に、さっき挨拶してなかった?」

「……いえ」

「ああいうのが由紀ちゃんはタイプなのかな」

まさか。全然。ちっとも。
わたしは切り捨てるように「いいえ」と告げた。
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