とことわのその ― 獣と絡まり蔦が這い ―【加筆修正版更新中】
「仕事は変わりなく続けられるの?」
「うん。前の彼氏みたいに、専業主婦になって欲しいってタイプじゃないから」
もる子ちゃんの前の彼氏は、プロポーズと同時に「結婚するなら仕事は辞めて欲しい」ともる子ちゃんに告げていた。
彼の仕事が転勤が多いことと、彼の幼少期に母親は仕事で忙しく、あまり愛情をかけてもらえなかったことが専業主婦になって欲しいという理由だった。
もる子ちゃんは悩みに悩んだ。
何度も話し合い、結婚できる可能性を探った。
だけど結局、もる子ちゃんも彼も疲弊し、このままいがみ合うよりは出来るだけいい関係のまま別れよう――という運びとなった。
彼はもる子ちゃんと別れてから一年も経たずに別の女性と結婚し、いまでは一児のパパだ。
知りたくないことまで垂れ流れてくるSNSも、要らないことまでぺらぺらと教えてくる共通の友人も、本当に厄介だ。
べろんべろんに酔って、気持ちの切り替え早いわボケ、と漏らしたもる子ちゃんの真っ赤な目は、いまでもしっかりと目に焼きついている。
そうだ。もる子ちゃんだっていまのしあわせを、すんなりと手に入れたわけではないのだ。
それは康くんも。おそらく、波多野さんも。
「うん。前の彼氏みたいに、専業主婦になって欲しいってタイプじゃないから」
もる子ちゃんの前の彼氏は、プロポーズと同時に「結婚するなら仕事は辞めて欲しい」ともる子ちゃんに告げていた。
彼の仕事が転勤が多いことと、彼の幼少期に母親は仕事で忙しく、あまり愛情をかけてもらえなかったことが専業主婦になって欲しいという理由だった。
もる子ちゃんは悩みに悩んだ。
何度も話し合い、結婚できる可能性を探った。
だけど結局、もる子ちゃんも彼も疲弊し、このままいがみ合うよりは出来るだけいい関係のまま別れよう――という運びとなった。
彼はもる子ちゃんと別れてから一年も経たずに別の女性と結婚し、いまでは一児のパパだ。
知りたくないことまで垂れ流れてくるSNSも、要らないことまでぺらぺらと教えてくる共通の友人も、本当に厄介だ。
べろんべろんに酔って、気持ちの切り替え早いわボケ、と漏らしたもる子ちゃんの真っ赤な目は、いまでもしっかりと目に焼きついている。
そうだ。もる子ちゃんだっていまのしあわせを、すんなりと手に入れたわけではないのだ。
それは康くんも。おそらく、波多野さんも。