とことわのその ― 獣と絡まり蔦が這い ―【加筆修正版更新中】
「君と俺が会っているところを、あいつに見られたみたいなんだ。
待ち伏せされて、どういう関係なのか訊かれた。
それで公認不倫のことを説明したら、君に会わせるように言われて」

「そう、だったんですか……」

だからって。
だからって、それをそのまま受け入れるのか。

せめて今日ではなく日を改めるとか、そういうことだって出来たんじゃないだろうか。
この(ひと)はノーと言えないような人ではないと思っていた。

それとも、それだけわたしの立場や気持ちなんてどうでもよかったのだろうか。

さっきよりもずっと強い胃の不快感に襲われる。

「急なことで驚いたよな。ごめん」

項垂(うなだ)れるように額を押さえていた邑木さんが、顔を上げて謝った。

「甘いんですね、弟さんに」

たっぷりと嫌味を込めて言ったつもりだった。
だけど邑木さんは短く「ああ」と言うだけで、否定はしなかった。
嫌味が伝わらなかったか。

「安心して。君を傷つけたり、困らせるようなことは言わせないし、食べたらすぐに帰すから」

食べていくのか。おでんを。
わたしが朝から仕込んでいたおでんを。
面倒くさいと思いながら面取りをした大根を。
二人なら四つかな、と茹でた玉子を。
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