とことわのその ― 獣と絡まり蔦が這い ―【加筆修正版更新中】
「それに、改めて今夜のことを君に謝りたいと思っていたし、詩優は君の」

「君の?」

訊ねると、邑木さんは口を閉ざした。
わたしはもう一度、「君の、の続きはなんですか」と訊いた。
質問はキスで返された。

もしかしたら、邑木さんも気づいたのかもしれない。
詩優さんが、ひーくんに似ていることを。

いや、さすがにそれはないか。
わたしがひーくんをそばでよく見ていたから、詩優さんとひーくんの些細な類似点に敏感なだけで。
もし康くんや波多野さんが詩優さんに会っても、似ているとは思わないだろう。

それくらいのレベルの「似てる」だ。

瓜二つというわけではない。
気づかない人は気づかない。

「それにしてもあいつ、ほとんど一人で牛すじ食べたな。
味噌だって、ごっそりとっていったし」

めずらしく尖った声だった。
まさかおでんの話をされるとは思っていなかったし、あいつなんて呼ぶのも意外だった。

ふふ、と笑ってしまう。
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