とことわのその ― 獣と絡まり蔦が這い ―【更新停滞中】
洗い物を済ませて、荷解きをはじめた。

邑木さんが空けておいてくれた(から)っぽの真っ白なクローゼットが、少しだけ色づく。
ふと、バッグの中からこの前はいていたスキニージーンズを見つけた。
洗濯したジーンズはピンと硬く、皺ひとつなかった。


邑木さんとわたしは、最後までしていなかった。

最後までしていないなら、まだ戻れる。


そう思ったけれど、どこに?

どこにわたしは戻るというのだろう。


ぺたりと座ると、床はつめたかった。
騒ぎはじめる心臓を鎮めたくて、深呼吸する。


吸って、吐いて。
また、吸って、吐いて。


慣れない真っ白い部屋は、邑木さんの香りが微かにした。
その存在を誇示するような香りに、思い出しかけたひーくんの香りは、きれいに搔き消された。
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