とことわのその ― 獣と絡まり蔦が這い ―【加筆修正版更新中】
「や、やですっ。苺とレタスなんて口の中で混ぜたくないです」

「レタスじゃなくてベビーリーフだけど、それでも嫌だ?」

愉しそうに言いながら指の腹で手の甲を撫でられ、ようやく気がついた。
きっと腰紐のリボンは、とうに結び終わっている。

「やですっ。ベビーリーフでも、やです。苺は苺だけがいいに決まってるじゃないですか」

苺とベビーリーフを一緒に食べたいか。
そう訊かれたら頷きがたいけれど、本当はそこまで強く言うほどの抵抗はなかった。
もしかしたら、おいしいのかもしれない。

だけど今は肯定的な言葉を口にしたくはなかった。

これ以上、この(ひと)に主導権を握られたくない。

「わりと保守的なんだな」

「また馬鹿にしてますか」

「また、って。俺は由紀ちゃんを馬鹿にしたことなんてないよ。
知らなかった面が知れたと思っただけで」

いいよ。それなら別々にする。
そう言って邑木さんは手を放し、キッチンを離れていった。

解放された手は汗ばみ、わたしの手はあの(ひと)の手を覚えてしまった。
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