とことわのその ― 獣と絡まり蔦が這い ―【加筆修正版更新中】
「このワイン、おいしい」
「ならよかった。そんなに高いものじゃないけど、口当たりいいから気に入ってて」
「邑木さん、もしかしてワインのうんちくとか語っちゃうタイプですか」
「まさか。君が聞きたいって言うなら勉強するけど」
「嫌ですよ。そんなもの聞きたいわけがない」
くすくす笑う二つの声が重なる。
お互いにくだけた口調だった。
昨日のことが嘘のように思えてくる。
一緒にキッチンに立って交わした会話も、食事中の会話も、思いのほか愉しかった。
――キッチン、こんなにスパイスあったんですね。
――売り場の店員さんに言われたままに買っただけだから、違いはよくわからないけどな。
――じゃあこれは、かっこつけて並べてるだけなんですね。
――意地悪だな。
わたしがなにを言っても邑木さんは微笑んだ。
ただ一つ反論されたことは、苺のサラダの食わず嫌いはいつか後悔するときがくる、ということだけだった。
「ならよかった。そんなに高いものじゃないけど、口当たりいいから気に入ってて」
「邑木さん、もしかしてワインのうんちくとか語っちゃうタイプですか」
「まさか。君が聞きたいって言うなら勉強するけど」
「嫌ですよ。そんなもの聞きたいわけがない」
くすくす笑う二つの声が重なる。
お互いにくだけた口調だった。
昨日のことが嘘のように思えてくる。
一緒にキッチンに立って交わした会話も、食事中の会話も、思いのほか愉しかった。
――キッチン、こんなにスパイスあったんですね。
――売り場の店員さんに言われたままに買っただけだから、違いはよくわからないけどな。
――じゃあこれは、かっこつけて並べてるだけなんですね。
――意地悪だな。
わたしがなにを言っても邑木さんは微笑んだ。
ただ一つ反論されたことは、苺のサラダの食わず嫌いはいつか後悔するときがくる、ということだけだった。