とことわのその ― 獣と絡まり蔦が這い ―【加筆修正版更新中】
「由紀ちゃんはこういうのは好き? ああ、この映画は小さい頃に見たな。
楽しい映画だと思ったら、そうでもなくて。けっこうなトラウマになった。
夢に出てきたことまであったな。
由紀ちゃんにはそういう映画ってある?」

心なしか、いつもよりよく話す邑木さん。
さっきまでの空気が流れていく。

だけどわたしは、まだ訊きたいことがあった。

「……どうして君は」

ぽつり呟くと、邑木さんは手を止めた。
少し驚いたようにわたしを見る。

「どうして君は、自分をそう低く見積もるの、って言いましたよね。
あれって、どういう意味だったんですか」

「あれは……」

手にしていたリモコンをテーブルに置き、邑木さんがソファーに寄りかかる。
ソファーのわずかな軋みが、胸を揺さぶる。

「由紀ちゃんには一歩……いや、三歩くらい引いてるように見えるところがある。
自分で自分を押さえつけてるような。わたしなんか、みたいな。そういうものを感じる」

「あのときは確かに、そういうことも言いましたけど……。
でもわたし、邑木さんにはけっこう口も態度も悪いと思うんですけど」

「そういうこととは別の話だよ。もっと根っこの方の、そういう話」

「……そうですか」
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