好きになっちゃ、だめでしたか?
 昼食を食べ終えると、早速授業がはじまる。

 いつもの教室とは違う、ホテルの天井の高い部屋。

 先生の声がいつもよりも小さく聞こえる。

 蒼をちらりと見ると目を逸らされ、春樹君を見ると微笑んでくれた。

 10分の休憩をはさみ、一コマ50分の授業を5時間。

 全て終える頃には頭がパンクしそうになって、身体を思いっきり伸ばすと気持ちいい。

「やっと夕食だねー。お腹空いた」

 一華は道具一式を胸に抱えてわたしのところにやってくる。

「温泉はいりたいわー。露天風呂もあるんだよね」

 両腕を思い切り上に伸ばし、盛大に息を吐いた。

「わたしもはいりたいよー。もう、脳みそいっぱいいっぱい」

 なんて話していると

「ねえ、留衣」

 と、春樹君が話しかけてきた。

「春樹君」

「今日の夜、時間ある?」

 一華の顔を見ると背中を押される。

「うん、大丈夫」

「じゃあちょっと、散歩しない? 中庭あるらしいんだ」

「そうなんだ、いいね」

「八時ちょっと前になったら連絡する」

「うん、分かった」

 春樹君は友達のところに戻っていってしまった。そのとき、視線を感じたのでそっちを見ると蒼と目が合った。

 だけどすぐに逸らされた。蒼のことを見ていても、もうこっちは向いてくれなかった。

「留衣の気持ち、2人にちゃんと伝えないとね」

「……そうだね」

 夕食を食べて、一華と一緒に温泉にはいって、あっという間に二十時近くになる。一華と2人部屋で休んでいると、スマホが鳴った。

 見ると春樹君からだった。

「行ってくるね」

「うん、いってらっしゃい。わたしは自習室いるね」

「おっけ」
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