僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている
この写真は私の心の中そのものだ。
「さあ、どうなんだろうね」

私は星羅の問いかけに曖昧に答えた。

ここで呼吸を忘れるくらいこの写真に惹かれたと正直に話しても、星羅は引くだけだろう。

星羅はきっと、私にそんな答えを求めていない。

この写真を撮った人も、深い考えがあったわけじゃないだろう。

星羅の言うように、アートっぽくして、ほかと違いを出したかっただけかもしれない。

「とにかく、なんか変だね」

本音とは裏腹にそうけなしたとき、胸にチクッと鋭い痛みが走った。

自分を偽るたびに、心に小さなトゲが刺さるのが分かる。

数えきれないくらい繰り返してきたことだから、もう慣れてしまったけれど。

「ねっ、彩葉もそう思うでしょ?」

星羅が、満足げに笑った。

「自分だけは人と違うアピールしたいんだろうね」

どうやら私の反応は間違ってなかったみたい。
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