僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている
星羅はこんなふうに、ときどき人を見下すようなものの言い方をした。

『あの子化粧濃いよね』とか『なんかダサくない? あの髪型』とか。

人前でも堂々と口にするから、だんだん周りが距離を置いていく。

『私もあんなふうに言われてるのかも』と不安になり、同じ気持ちの子がほかにもいることに気づき始める。

そこから『星羅がちょっと苦手』っていう共感が生まれて、仲間がいるという安心感につながり、独特の目に見えない絆ができあがる。

そんな、いじめとまではいかないけど、周りから浮いている状態の星羅。

本人もだんだん自分がクラスから疎外されていくのを感じて、だから地味で目立たない私といるようになったんだと思う。

学校には、そういう小さな仲間外れから生まれる残酷な絆が無数に存在する。

誰もが、同年代というだけでひとくくりにされた落ち着かない集団の中で、自分の居場所を探すのに必死なのだ。
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