※追加更新終了【短編集】恋人になってくれませんか?
「けれど、ミリー様は……」

「あいつとはまだ婚約を結んでいない。俺はあれから……クリスティーヌと婚約破棄したことを、ずっと後悔していた」


 アルバートの言葉にわたくしは大きく息を呑む。それはずっとずっと、彼の口から聞きたいと思っていた言葉だった。
 どうしようもなく胸が高鳴り、瞳には涙が溜まる。アルバートはわたくしの目尻に、そっと手を伸ばした。


「知らなかったんだ。君がこんな顔をして笑えることも、こんな風に会話ができることも。俺はずっと君という人を勘違いしたまま、ここまで来てしまった。本当に申し訳なかったと思っている」


 胸が熱くて堪らない。十年間変えられなかったことが、こんな形で実るとは思っていなかった。
 正直言ってわたくしは、もう一度アルバートに想いを伝えたかっただけで、こんな風に彼がわたくしを求めてくれるなんて、想像したことも無かったのだ。


「もう一度やり直そう。今度こそ、君を大事にする。幸せにすると誓うから」


 そう言ってアルバートはわたくしのことを抱き締めた。彼がこんなことをするのは、初めてのことだった。

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