ストロベリーキャンドル
・・・・
桜が咲いて、散り始めた頃私は退院する。
「じゃあこれで全部?」
「うん」そう言いながら荷物が入った袋を肩にかけた。手術から2週間。今日無事に私は退院した。手術後の回復が早く日常生活を送ることに対して何も抵抗はないと言われ、若者の回復力は恐ろしいと先生にも笑われてしまった。色々あったこの病室とも今日でお別れ。少し寂しい気もするけど、私の第二の人生の始まりでもあるから。
病院の出入り口につき私は足を止めた。この一歩を踏み出せば新しい人生の幕開け。大丈夫未来は明るい。そう嶺緒が夢の中で伝えてくれたから…そう思いながら私は第一歩を踏み出した。
「つきはー!!」駐車場で家族が両手を挙げて私を呼んでいる。私は走って家族の元へ行きみんなで我が家へ帰った。久しぶりに戻っている我が家。隣の家を見ると結城家の表札が無くなっていることに気がついた。本当にもうここにはいないんだ。そう実感した。
よし!頑張ろう!家の中に入ると沢山飾りが付いていて、みんなに沢山祝ってもらった。
──ピンポーン
インターホンがなり扉を開けると、「よっ!」と言わんばかりに流が立っていた。その後ろには勿論瑠奈と輝羅もいた。「お邪魔しまーす!」とデカい声で流はリビングに一直線に向かった。騒がしいけどとっても嬉しかった。
そう言えばここだけの話瑠奈と流は結構いい感じらしい。昔瑠奈は流のことが好きだったという話を聞き、珍しく輝羅の予想が当たったと2人で目を合わせて驚いた。そして輝羅には伝えていないが、昔嶺緒から聞いた話によると流は子供の頃から瑠奈に片想いをしているらしい。ワンチャン急展開があるかもと私は密かに思っている。
「月葉もおいでよ!」
「はーい!」
リビングから私を呼ぶ声が聞こえたから私は返事をしみんながいる所へ向かった。この生活が一生続きますように。そして早く…嶺緒と、結城家が戻ってきますように…私は笑顔のみんなの顔を見てさらに思った。