続・23時のシンデレラ〜甘い意地悪なキスをして〜
「……ごめんな美弥」

颯が、私の頬に触れると、悲しそうな顔をする。

「平気だよ」

颯にそんな顔をさせるのが、申し訳なくて、私は無理やりニコリと笑った。颯は、墓石を見つめると、私の右手を握りしめた。

「母さん、こちらが綾乃美弥さん。俺の婚約者だよ」

颯を見上げれば、こちらに向かって颯が、小さく頷く。

「あの、初めまして。綾乃美弥と申します。颯さんとお付き合いさせて頂いております。あの、ふつつかものですが、宜しくお願いします」

体を折り畳むようにして、お辞儀をした私をみながら、颯が、ふっと、吐息を溢した。

「えっと……何だか結婚のご挨拶みたいに……なっちゃった、大丈夫かな?」

クククッと笑う颯を見上げれば、いつものように、私の髪をくしゃくしゃと颯の指先が、掻き混ぜる。

「上出来。母さんも笑ってる」

颯が、赤く色づいたハナミズキの葉が揺れるのを目を細めて笑った。

私も美しく色を染めたハナミズキを見上げながら、握られた颯の掌を強く握り返していた。
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