続・23時のシンデレラ〜甘い意地悪なキスをして〜
「あのっ……私、確かに何も持ってませんし、家柄もよくありません。何も持ってない私が、颯さんに、してあげられることなんて……本当に……限られてますけど、でも、仕事も頑張って、颯さんと会社の為に、役に立てるよう努力します。必ず、貢献して見せます。だから……お付き合いを、認めて欲しいなんていいません、ただ、もう少しだけ、見守って頂けないでしょうか……お願いします」

私は、深く頭を下げた。康二の話が、本当なら、颯のお母さんみたいに自ら身をひくのが、颯の為なのかも知れない。

それでも、今の私にその選択肢はない。
颯と別れる事を選ぶなど、到底できない。

「美弥、こんな奴に頭下げる必要ないから」

颯が、私の背中に手を当てながら、私の身体ごと起こす。

康二は、私達を見ながら、暫く黙っていたが、墓石にもう一度視線を向けた。

「瑞季も心配してるだろうな。お前を何よりも誰よりも大切にしていたから」

「知ったような事言うんじゃねぇよ!俺の人生は、俺が決めるから」

康二が、颯と真っ直ぐに視線を合わせる。

「間違った選択をして、後悔するのは、颯、お前だぞ……あと、麗夜に、足元を掬われないようにするんだな。あれは、野心家だからな。お前を失脚させるためなら手段は選ばない。ま、アイツを呼び戻したのは私だがな。どちらが安堂不動産の時期社長に相応しいのか見ものだ」

康二は、不敵に笑うと、颯の肩にワザと肩をぶつけてから、背を向けた。颯は、その後ろ姿が見えなくなるまで、ずっと唇を噛み締めていた。

私は、颯に声をかける事が出来ずに、康二の後ろ姿が完全に見えなくなってから、両手に抱えていた、かすみ草をそっと墓石の前に供えた。

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