続・23時のシンデレラ〜甘い意地悪なキスをして〜
「美弥のビーフシチュー、ちょっと甘めだろ?母さんのつくるビーフシチューも甘めで似てて、すっげー懐かしくてさ」

「だから、おかわりしたんだ?」

「まあな、ガキみたいだろ」

「全然っ。また、おかわりして貰えるように作るから、クリスマスお楽しみにね」

美弥が、笑うと、気づけば俺も笑っている。美弥との、たわいない会話の一つ一つを切り取って、ずっと心に仕舞っておきたくなる。

クリスマスが、こんなに楽しみなのは、子供の頃、以来だろう。サンタさんにプレゼントを届けて貰うのが嬉しくて、なかなか眠らず母さんを困らせた事をふと思い出す。

いつだったろうか?

翌朝起きて、届いていた、世界で100体しか、生産されていない、特別限定仕様の高価なプラモデルは、今でもクローゼットの奥に保管してある。

(あれ?ちょっと待てよ……高価なプラモデル?)

今思えば、ホステスをしながら、俺を女で一つで育てた母さんが、果たして、そんな高価で更には特別限定仕様のプラモデルを買えただろうか?

手に入れる事は可能だったのだろうか?

「颯?どうしたの?」

「いや、何も。たださー、母さんの話してたら、美弥を母さんに会わせたことなかったなって。なぁ、墓参り、一緒に来てくれる?ちょうど明日、月命日なんだ」

「いいの?私も会ってみたい」

「俺の婚約者だって紹介するからな」

「……うん……」

頬を染めた美弥にキスを、落としてから、俺達は抱きしめあったまま眠りについた。

何もいらない。

ただ永遠に続けばいい。

愛しいシンデレラと、抱き合っているだけで、こんなに穏やかで優しい時間(とき)が過ごせるのだから。
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