切ない両想い
Prologue
12月だというのに、足元がとても暖かくて心地いい…。

そんな幸せな眠りの中に居る。

あれ…?

昨夜は電気あんかを入れ忘れ、そのまま寝たはずなのだけれど。

まぁ、いいや。

寝返りを打つと、あたたかく柔らかな何かにぶつかる。


あぁ…そうだった。

薄目を開けて、おもむろに気づくなんて。

ずっと、ずっと…大好きだった人が、すぐ隣で眠っている。

長い間、うんと遠回りをして、自分の気持ちも、いつも圧し殺して…。

今の私は、これでもかというほど幸せを噛み締めながら、あまりに切ない想いで過ごした季節を思い出していた。
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