【短編集】婚約破棄から幸せを掴むまで
「もう……っ、何なのよこのドレス!」

「着替え、手伝いましょうか…?」

「は!?」


わたくしが声を掛けると、女性は警戒するように此方を見ています。
女性は背に手を伸ばしていますが、なかなか上手くドレスを着れないようなのです。
本当はレンティル様がしてあげるべきなのでしょうが、レンティル様は自分の衣服のボタンに夢中のようです。


「手伝いますよ?」

「結構よッ!!このくらい自分で出来るわ!」


女性は数分間の格闘の末、何とかドレスを着ることが出来たようです。

ハァと息を吐き出した女性は、優雅に髪を掻き上げてから咳払いをすると、わたくしを見て余裕たっぷりの笑みを浮かべました。


「貴女……自分からレンティルの婚約者になりたいって言ったんでしょう!?」

「え……?」

「!!」


話が見えません。
わたくしは「レンティル様の婚約者になりたい」などと、口にした事は一度もありません。
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