【短編集】婚約破棄から幸せを掴むまで
二人は、急いで衣服を直しています。
その様子をわたくしは何も言わずに、じっと見ていました。

見知らぬ女性は、わたくしの事を鋭く睨みつけています。
その視線には憎しみが篭っているように見えました。


「……今、そちらの方と親密に口付けているように見えたのですが」

「そ、それは…っ!違う」

「レンティル、何が違うの!?」

「…それは」

「そうよ!私は今、レンティルと口付けをしていたのよ?」

「……ッ!」

「ウフフ、羨ましい?」

「いいえ、全く」

「「………」」


わたくしは柔かに笑みを浮かべながら首を振りました。


「ふん……調子狂うわね」


わたくしを煽りたく言ったようですが、思った反応と違ったようです。

レンティル様が口付けることが羨ましいかと問われたら、答えは決まっています。

全く羨ましくなどありません。
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