【短編集】婚約破棄から幸せを掴むまで
わたくしはレンティル様から目を離してから、シャーロット様へチラリと視線を送りました。

鬼の形相をしているシャーロット様を見て、察したのでしょう。
レンティル様は言葉を詰まらせています。


「この件はお父様に報告させて頂きますね」

「なっ……!」

「では、失礼致します」

「リディアッ!待ってくれ……!」

「ーーレンティル!?」

「君の家からの支度金と援助がなければ、うちは……っ!」


レンティル様はわたくしを引き止めようとしているのか、必死に腕を広げています。

そうなのです。

マベール侯爵家は資金難で苦しんでいたのです。
そして縋る思いで頼ったのが、ペルーシャ子爵家であるお父様というわけです。

ですが、シャーロット様の家にはプライドや体裁があり「金がないです」とは言えなかったのでしょう。

マベール侯爵は「この事だけは内緒にしてくれ」と契約書に一番の条件として盛り込むくらいですから相当です。

わたくしは「まさか…」と思って問いかけました。
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