【短編集】婚約破棄から幸せを掴むまで
「ホルディ‥ごっ、ごめん、なさい‥!」

「ノエリア、泣かないで」

「ひっ、く‥」


ホールデンはノエリアを優しく抱きしめた。
そんな微笑ましい2人の様子を見て周囲は和やかな雰囲気である。


「僕がノエリアを大切にしたら、けっこんしてくれる?」

「うん、いいよ」

「あのね‥!僕、ノエリアの為にがんばるから」

「ホルディと仲良くできるように、わたしもがんばるわ」

「約束だよ‥?」

「わかったわ」

「ノエリア、ずっと僕のそばにいてね」

 









ノエリアはそっと瞼を開いた。

幼い頃の約束や温かい記憶を覚えているのはノエリアだけなのだろうか。
この状況を見れば"大切"とは程遠い。

それからノエリアは王妃教育を受ける為に城に通っていた。
『ホールデンの言葉を信じてみよう』
『少しでもホールデンの為に精一杯、努力しよう』
けれどノエリアが"完璧"だと言われる程にホールデンの心は離れていった。

ノエリアは淡々と自分の仕事をこなして、ホールデンの事を手助けしていた。
それが良くなかったのだろうか。
ノエリアがしっかりしなければ王家の評価が落ちてしまうと思っていた。

レイチェルが現れる前までは、2人の関係は何とかバランスを保っていた。
けれど、それは最も簡単に崩れてしまった。

(‥‥一体、わたくしは何を間違えたのかしら)
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