【短編集】婚約破棄から幸せを掴むまで
静かに思い出に浸っていたノエリアの耳に届くヒールの音。
ノエリアは姿を確認する為に立ち上がった。
「あぁ‥!ノエリアっ、良かった!!」
「ヘレン様‥!?どうして此処に」
「事情は騎士達に聞いたわ‥!準備に手間取って遅くなってしまったの。本当に御免なさい」
ヘレンは涙を浮かべながら牢の鍵を開ける。
ノエリアの無事を確認するように優しく抱きしめた。
ホールデンの姉であり王女でもあるヘレンはノエリアの数少ない理解者だった。
ヘレンもノエリアも、狭い世界で生きる似たような立場だったからだ。
悩みがあると、よくヘレンに相談していた。
そしてヘレンもノエリアに夢や悩みを話してくれた。
ヘレンとは時間も忘れるくらい何時間も語り合った。
ヘレンが居なければノエリアの心は早々に潰れていたかもしれない。
「ホールデンが本当に御免なさい‥!」
「ヘレン様のせいでは‥」
「どうしてあんな女に‥!本当に信じられない」
「むしろわたくしが責められても文句は言えません。レイチェルが殿下に色々吹き込んでいるのだと思います」
「‥‥ノエリア」
「本当に申し訳ありません‥陛下にもわたくしの力不足を謝るつもりです」
ヘレンは唇を噛み締めた。
「違う‥!違うわ、ノエリア」
「‥‥え?」
「貴女がどれだけ頑張って努力しているのか、皆んな知っているわ」
「‥‥」
「貴女はこの国とホールデンの為に、とても尽くしてくれていたのに‥!」