【短編集】婚約破棄から幸せを掴むまで
ーーーバンッ!!!



ノックもなしに乱暴に開く扉と大きな音……。
そこから現れた見覚えのある顔に、カサンドラは目を見開いた。



「ーーーカサンドラ、お前とよりを戻してやろう」


まるで"朗報"とでもいうように嬉しそうにカサンドラの部屋に入ってきたエイヴリーの姿。

カサンドラが手に持っていた本がポロリと落ちた。

いきなり連絡もなしに屋敷にやって来たのは元婚約者……ビズレッド伯爵家の嫡男であるエイヴリーである。

その後ろからは困惑した表情を浮かべる侍女や執事達の姿があった。
心配そうに此方を見ている。

興奮しているのか、エイヴリーは目を見開きながら此方を見ていた。


「は……?」


開口一番……あまりに馬鹿馬鹿しい発言に、この言葉しか出てこなかった。
そして何を思ったのかは知らないが、思いもよらない言葉がエイヴリーの口から飛び出した。


「寂しかっただろう?俺がお前を振ったせいで俺を忘れられなかったことだろう………悲しい想いをさせて悪かった」

「……」

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