【短編集】婚約破棄から幸せを掴むまで
「しかし、今日からはまた俺が側にいてやるから安心しろ?父上と母上にはもう話してあるんだ!なんて優しい息子なのだと褒められたよ」

「……」

「さぁ、早く手続きをしようじゃないか!もう泣く必要はない……愛しい婚約者が戻ってきたのだから」


怒りを通り越して呆れてしまい、何も言葉が出てこなかった。
ただ、目の前でペラペラと意味の分からない言葉を話している勘違い野郎の顔を殴り飛ばしてやりたいと思った。

(どういう思考回路なの……?)

スッ…と自分の手首を押さえて、殴りたい衝動に耐えていた。
そして、こんな男を心から愛していた自分を恥じた。




「ーーーカサンドラ、またお前を愛してやるからな」



頭の中の何かがプチンと切れた。

カサンドラはニッコリと笑顔を浮かべて、エイヴリーに優しく諭すように言った。
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