【短編集】婚約破棄から幸せを掴むまで
「詳しくはお二人揃って国王陛下にお話を聞いてはいかがでしょうか?」

「…………」

「…………」

「では、皆様失礼致しますわ……!ご機嫌よう」


満面の笑みを浮かべながら、鍛え抜かれたカーテシーを披露してから、お二人に背を向けます。
コーディ殿下のサインがアッサリと手に入ったので、これ以上ここにいるのは無意味でしょう。


「ーー待てッ!!!」


折角、気持ち良く去れるところでしたのに、引き止められてしまい良い気分が台無しです。
はぁ……と小さな溜息を吐いた後に笑みを作ってからお二人に視線を送ると、焦ったようなコーディ殿下とアンバー様が此方を見ています。

ですが、もう手遅れではないでしょうか。
内心では「面倒臭い」と思いつつも、笑顔で問いかけたわたくしを誰か褒めて下さい。


「…………何でしょうか?」

「お前が一方的に喋るせいで、こっ、此方の言い分が伝えられなかったではないか!!」

「はて、言い分とは……?」


その言葉を聞いて気を良くしたかコーディ殿下は得意気に語ります。
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