【短編集】婚約破棄から幸せを掴むまで
「お前は俺への嫉妬からアンバーを虐げてい……っ「わたくしはコーディ殿下の交友関係において、嫉妬した事は一度もありませんわ」

「……!?」


真実を申し上げただけなのに、何故か大きなショックを受けているコーディ殿下に分かりやすく説明して差し上げます。


「そもそも殿下を好きだと思った事がありませんもの!全て勘違いですわ」

「…………。お、お前はアンバーを虐げてい……っ「わたくしはアンバー様を虐げておりませんわ!」

「おい!!最後まで話を聞けっ!」

「だって、わたくし嘘をつくのが嫌なんですもの」

「……ッ」


そして顔を真っ赤にして怒りに震える殿下を見て溜息を吐きました。
この程度の事で、表情を変えるから国王陛下に「まだまだだ」と言われるのではないでしょうか?

そう言おうとして口元を押さえ、咳払いをします。
もうわたくしがコーディ殿下を気遣う必要はありません。
何故ならば、わたくしはコーディ殿下の婚約者ではなくなるからです。

アンバー様は「話を聞きなさいよ」と言いたげに此方を睨みつけていますが、わたくしが黙ると満足そうに余裕のある表情を浮かべます。

証拠を集める為にお二人を観察しておりましたが、アンバー様はなかなか表と裏が激しい方のようです。

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